看護師不足の原因は看護師の悩みと不安と看護の質を高めない

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小児科の看護師

看護師は純粋に仕事に打ち込むことに喜びを感じる反面、同僚看護師や上司にも打ち明けられない悩み・不安を抱えています。新卒看護師の多くが

  • 専門知識が足りない
  • 医療事故を起こさないか不安

などの不安・悩みをかかえ、多くの看護師が1年以内に離職してしまうという現実があります。

新人が辞めた理由

  • 病院や大学側が挙げた辞めた理由は
  • 卒業時の能力と現場が求める能力の差が大きい
  • 若者の精神的な弱さ

看護師により高い能力が求められている

などです。

看護師の悩み

看護師が悩んでいることは

  • 担当部署で必要とされる専門知識の不足
  • 医療事故を起こさないか不安
  • 基本的技術が身についていない

などで、「薬の知識」、「注射などの実技」がもっと受けたかった教育として報告があります。病院の夜勤研修をめぐり、「一人になってミスをしないか」とひとりだちへの不安を感じる新人看護師も。

先輩看護師が付き添っての夜勤研修回数は、深夜勤が平均2.1回。6割が「3回以上は必要」と応える看護師も多く、自立後の不安で、「ミスを起こすのではないか」と思い、「3か月以内に辞めたい」と思った看護師も多い。

「先輩の勤務状況の辛さを見ると、数年後に希望がもてない」という2年目の看護師もいます。

メディア報道に見る看護師の不安、悩み、不満

【NHK「特報首都圏」 「新人看護師が辞めていく」】 2007年4月27日放映

聖マリアンナ医科大学病院では、十人に一人が1年経たずに辞めていき、その理由は

  • ストレス
  • 注射器の扱い方や医療器具の使い方の難しさ

不安・悩みでは

  • 専門知識不足
  • 医療事故

でした。

ベテランでは、「十分な看護を提供できない」「セクハラや暴言」で悩む看護師もいるのには驚きを隠せません。

【日本医療労働組合連合会(医労連)実施のアンケート】 2005年11月の新聞記事

2000年に続き2回目のアンケートで、2005年8月~10月に約17,000人(平均年齢35.8歳)の看護師から回答を得たということです。

  • 患者を十分に看護できていると感じる看護師は1割に満たない
  • 仕事の質に不満を感じる人は7割を超える

人出不足や仕事の忙しさを理由に上げる声が多かったとのことです。アンケートの内容を具体的に見ていきましょう。( )内は2000年の結果です。

十分に看護を提供できている 8.6%(7.7%)
十分にできていない 64.2%
この3年でミスをしそうになったことがある 86%
医療現場の忙しさ 83.7%
業務量が最近増えた 62.1%(54.5%)
残業時間1か月平均 9.5時間(0.5時間増)
残業時間が20時間以上 13.3%
仕事を辞めたいと思うことがある 72.5%(64.5%)
仕事の忙しさ 35.8%
仕事の他生還がない 21.6%

2010年になると、セクハラや暴言が主な悩みとして上げられているので、驚いてしまいました。病院内だと、同僚の男性看護師か男性医師がセクハラの相手ですが、なかには重度の認知症の患者(女性も含む)や、馴れ馴れしい男性患者も多いのです。

【暴言・暴力対策講習会 2010年2月に東京都が開催】講師:和田耕治(公衆衛生学・北里大学)

和田耕治講師が実施したアンケートの結果です。有効回答220人(9割が女性)

患者からのストーカー行為を経験 24人(11%)

  • 担当した男性患者が退院後、女性向けの下着を送ってきた
  • 通勤途中で待ち伏せされ、電車の同じ車両に乗ってきた

など

セクハラ行為(過去半年間) 31人(14%)

  • 入浴介助中に身体を触られた
  • 今度ご飯に行こうと言って手を離さない
  • 来院のたびにいやらしいことを言われた

など

こんな状態で働いていると、ストレスもたまり、うつになりかねないだろうと推察します。

患者は退院すれば一区切りつきますが、病棟の看護師は、患者さんが退院していなくなると、次の入院患者の受け入れが仕事です。

過去半年間に患者から暴力を振るわれた看護師は6%、暴言を経験したのは4%なので、病院側は、このような看護師の悩みや不満を聞くべきです。

深刻化が加速する看護師不足

全国の病院間での看護師の獲得競争が激化し、中小の病院では採用活動がさらに難航している中、2006年11月に国立大学病院など423の大手病院が、2007年4月に採用を予定する看護師は、前年比5割増しの18,740人に登ると発表され、驚きました。

厚生労働省は、看護師不足の実態を把握するため、緊急に調査を実施、中央社会保険医療業議会(中医協)で結果を報告しました。看護師を手厚く配した病院に入院基本料を上乗せるる2006年4月の診療報酬改定が影響したと診られ、改定の見直し論が浮上しそうだと言われていました。

調査結果によると、国立大学病院は2005年の約2.2倍、計5,420人の採用を予定、8割りの内定者を確保しましたが、日本赤十字病院は92施設中、28施設で内定0,計4,109人の採用予定農地、内定者は約半分の2,126人でした。

厚生労働省の推計では、全国の医療機関で必要なかんこ職員スッhな約1,314,000人なのに対し、実際の就業者数は127万人。約4万人の看護師が不足している上に、新人看護師が一部の大病院に集中すれば、地域医療が看護師不足で立ちいかなくなる懸念がありました。

2007年の「7人」基準

東京大学医学部不足病院では、2007年の「7人」達成を「病院を挙げての最重要課題」と位置づけ、「7人」基準の達成で年間9億7,800万円の増収が見込まれるとしていました。人件費などを差し引いても7,500万円の利益増。

医療関係者の間では「看護師の配置を手厚くするだけで増益になるのは問題」との見方もあります。

看護師不足はますます深刻化

看護師数は1999~2004年は年平均約3万人野像ですが、病院勤務の看護師に限ると年間約1万人しか増えていません。この傾向を当てはめると、今度の看護師不足はますます悪化します。

静岡の沼津市立病院では、看護師不足が原因で病棟の一部が閉鎖状態になり、対応ができたのは、わずか14人だったという現状が、2007年1月22日のNHK「クローズアップ現代」で伝えられました。

三重県の総合病院で行われたワーキング調査の結果では勤務時間の長さ、薬の負担などが理由で仕事を辞めたい、と答えた看護師が70%。

厚生労働省は、沼津市立病院の病床の一部に保育所を設け、新卒とベテラン看護師の仕事訳や、准看護師をシーツ交換や救急医療の場に回し、それで足りない場合、看護助手を配置、とする方針をまとめました。

病床が減る、診療所が閉鎖

看護師や助産師などの必要数を推計している、厚生労働省の検討会は、5年おきに看護職員受給見通しをまとめていますが、看護師不足は続きますます深刻化すると予測しています。少子化などの影響が有っても、一度離職されると、欠員を補充するのがなかなか難しいのが現状です。

海外の看護師不足

2009年、チェコのプラハのある整形外科病院の話です。チェコでも看護師不足が原因で医療機関での争奪戦が激化していました。そんな中で

「ウチの病院で働けば、豊胸手術や脂肪吸引をただで受けられます」と言ったうたい文句で看護師を募集した所、応募が殺到したそうです。

美容整形は一般市民にも受け入れられつつ有りますが、まだ高嶺の花だったのでしょう。募集の結果、この病院はどう規模の他の病院と比べて2倍近い55人の看護師が確保でき、採用後にドイツ語と英語の研修も始めたそうです。

ルーマニアの首都ブカレストの産婦人科で起きた火災では、4人の看護師が常駐していなければいけないところ、事故当時は1人しかいなかったために避難が遅れてしまった、と地元メディアが伝えていました。

看護師の争奪

看護師の争奪戦で優位に立つのが、先進的な医療を提供する大規模病院です。例えば東京大学医学部附属病院では、教授を始め総動員体制で看護師確保に乗り出しました。

「国立大学病院看護部長会議」は2006年にホームページを作りましたが、その内容の殆どは看護師の募集情報でした。

国立大学を中心とした、新人看護師の大規模病院への集中は、それぞれの病院に「段階の看護師」を生んでいます。一方、中小病院の看護師確保は深刻さを増しました。

診療報酬の上乗せ基準

全国の病院間で激化している看護師の争奪競争を沈静化するため、厚生労働省は、原因となった看護師の配置が手厚い病院への診療報酬の上乗せ基準を見直す方針を固めました。

上乗せを認める病院を、救急医療や手術など、看護の必要度の高い治療を行う施設に限定する、と言った内容です。上乗せ基準は医療の質の向上などを目的に2006年4月の診療報酬改定で導入されましたが、2008年に改定され、その後も2年おきに改定されています。

中央社会保険医療協議会(中医協)は診療報酬の上乗せ基準見直しを、厚生労働省に「建議」することを決定。これを受け、厚生労働省も見直しに着手することになったのです。

中医協では、一部の病院が看護の必要性よりも、経営上の理由から看護師を増やそうとしていることが、競争の激化を招いているとの認識で一致。看護の必要性が高い施設に限って上乗せを認めるよう求めることにしましたが、機銃変更には次善の実態調査などが必要であり、難しい問題です。

まとめ

看護師不足が病床の減少、診療所の閉鎖などに繋がる可能性もあります。看護師のかかえる不安・悩みを受け止め、特に新人看護師の離職をくいとめることも、看護師不足の解消に役立つでしょう。

激化する病院間の看護師獲得競争も、看護の質を高めるためであってほしいものです。

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