看護師さん必見!患者さんとの信頼関係を築くための具体的な事例と解決策

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患者との信頼関係

ナースが患者に対して非主張的になるのはどのようなときでしょうか。また、ナースが非主張的になると、どのような事態に陥るのでしょうか。

全般的に、ナースは、すぐに怒鳴る患者、一方的に権利を主張する患者、ナースに何かと文句を言う患者に対して、非主張的になる傾向があるようです。

そのような攻撃的な患者に対して、患者の怒りを恐れて腫れ物に触るように接したり、何でも言いなりになってしまったり、患者としてきちんと守ってほしいようなこと、約束してほしいようなことがあっても、なかなかそれが言えない、ということが起こりがちです。事例をみてみましょう。

いつも患者に怒鳴られ、それを我慢しているナース

一年目のナースDさんは、受け持ち患者のEさんからいつも怒鳴られていました。Eさんは下半身の麻痺があり、思うように身体を動かすことができません。それで、身体の向きを変えるときには、ナースの手助けが必要です。

DナースもEさんの体位変換をするのですが、Dナースが身体の向きを変えようとすると、Eさんは、「痛いよ!何度言ったら俺の言うようなやり方でやれるようになれるんだ」と、眉間にしわを寄せて怒鳴ります。

他のナースには、それほどきつくは言わないようで、Dナースは自分だけが怒鳴られることを悩んでいました。先輩がDナースに声をかけると、Dナースは、

「私は、患者さんをケアするどころか、私がかかわることでかえって患者さんをいらいらさせてしまうんです。体位変換もなかなか上手にできません。患者さんに怒鳴られると、とてもつらいです。怖くなって逃げ出してしまいたいほどです。でも、相手は患者さんなのだし、私が悪いのだから、怒鳴られても我慢して、ケアしなければならないと思います」

と、言いました。

Dナースは、患者さんから怒鳴られるのが嫌で、怖くて、ついおどおどした態度になり、言われることは何でもその通りにやるようになりました。そして、日が経つほどにDナースは、Eさんの部屋に行くのが嫌でたまらなくなり、今では受け持ちナースを続けることが耐え切れなくなってきています。

看護師は自分を未熟と思っている

この事例では、Dナースは、患者から「ばかだな」と怒鳴られています。患者がそのような態度をとるのは、自分の未熟なケアのせいだと思っています。そして、自分のせいで患者をいらいらさせている、と自分を責めています。

確かに、Dさんは体位変換の技術が未熟かもしれません。しかし、だからといって「ばかだな」と言われることまで我慢しなけれぱならないのでしょうか。ナースも一人の人間であり、人として尊重される権利があります。

Dナースは自分が悪いのだから、と怒鳴られ、ばかにされたことを自分のせいにしています。しかし、Dナースの心のなかには、自分では気づかないEさんに対する怒りの気持ちもあります。実はEさんに対して否定的な気持ちをもっているのですが、その気持ちには蓋をしているようです。
そして、その気持ちを自分自身に向け変えて、ナースとしての自分を否定してしまっているようです。

ナースは、患者に対して否定的な気持ちを抱くことを、よしとしないところがあります。患者を悪く思う気持ちをもつことに、罪悪感を感じます。したがって、そのような気持ちを抑えつけてしまいがちです。しかし、そうすると、心のなかで起こっていることを整理して、相手とコミュニケーションすることができなくなってしまうのです。

ですからDナースは、一生懸命Eさんのケアをしなくてはならない、と自分の背中を押しながらも、Eさんのところに行きたくないという裏腹な気持ちを抱くことになってしまったのです。

患者のマッサージをなかなか終えられないナース

下肢の浮腫が著明で、倦怠感の強い患者のFさん。ナースがマッサージをしてみると、とても楽になると喜んでくれました。それで、マッサージをケアのひとつに組み入れることにしました。

ところが、マッサージを始めると、Fさんは自分から「もういいです」とは決して言いません。ナースが手を離すと、「もう終わりなの?」と不満気な様子です。それで、しぶしぶ続け、時にはマッサージが一時間以上続くこともありました。

そうすると、他の仕事のことが気になっていらいらしてきます。そのようなことが続くうちに、ナースのなかに、「こんなにやってあげているのに、自分の欲求ばかり言って、わがままな人だ」「忙しいなかでマッサージをやっている、ということをちっともわからない鈍感な人」といった、患者さんを責める気持ちがわいてきました。

しかし、どうしても途中で切り上げることができず、マッサージに行く前に同僚に5分くらいしたら呼びに来て」と頼むようになってしまいました。

ナースのなかには、患者から頼まれたことはなかなか断れない、あるいは断るときは、どう断ったらいいのかわからない、という人は多いようです。そして、つい我慢してしまい、心のなかに不満や、怒りをため込むことになってしまうのです。

攻撃的なコミュ二ケーション

同じように患者のために役に立ちたい気持ちをもっていても、逆に自己表現が攻撃的になってしまう場合もあります。次の事例などがその典型といえるでしよう。

隠れて間食をしていた糖尿病患者を怒鳴ったナース

なかなか食事制限が守れない糖尿病の患者Gさん。Gさんは、教育入院と呼ばれる入院、すなわち、糖尿病という病気や治療法について、運動や食事の仕方、インシュリンの使用方法などを学ぶための入院をしているのですが、時々こっそり売店でお菓子を買って食べています。

今日も売店で煎餅を買っているところを病棟のナースに見つかってしまいました。見つけたナースは、担当ナースのHさんにそのことを伝えました。

Hナースは早速Gさんのところへ行き、次のようにまくし立てました。

「Gさん、糖尿病が悪くなってもいいんですか?そうならないために、食事をどうしたらいいか、インシュリンをどう使ったらいいか、勉強しに来たのでしよう?私たちナースはあなたのためを思って、糖尿病のことや食事療法のことなどを教えているわけですよね。それなのに、あなた自身が食事制限を守らなかったら、一体私たちは何のために教えているのかわからないじゃないですか。同じことを何度言えぱいいのですか。やる気がないのなら退院してもらいますよ!」

この事例のHナースは、担当ナースとして、これまでGさんのために熱心に教育プログラムを立て、それを実施してきました。だから、Gさんが自分の期待に反して、隠れて問食しているということがわかり、自分のやってきたことが無意味だったような、患者さんに裏切られたような気がしたのでしょう。

だからこのようにまくし立てたい気持ちもわかります。しかし、GさんにはGさんの気持ちがあります。こそこそ隠れて食ぺているくらいですから、悪いことをしている、ということはGさんにもわかっているのです。HナースがそのようなGさんの葛藤に耳を傾けることができれば、Gさんの気持ちがより理解でき、何らかの方向性が見つかるかもしれません。

まとめ

Hナースのように「患者のため」という気持ちが強く、仕事に対する責任感が強いと、患者が期待した通りにならないことが受け容れにくくなる場合もあります。そして、患者の気持ちを理解しようとすることよりも先に、失望感や怒りを患者にぶつけてしまい、患者を強く攻撃してしまいます。

また、もともと性格が攻撃的であるナースもいます。そのようなナースは共感的に患者を受けとめることが苦手です。多くの場面で、患者の立場で話を聴くことができず、患者を一方的に非難したり、説教がましくなったり、ナースの意見を押しつけたりします。

そうすると、患者は「わかってもらった」という気持ちになれないので、お互いに理解が進まず、事態が進展しません。もちろん、患者とナースの信頼関係を築くことなど、できなくなってしまいます。

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